ペットの病状が重篤で、医学的な判断としては入院加療が望ましいとなった場合、飼い主さんにはまず、入院自体の是非について判断をしていただきたいのだとお伝えしています。
状態の悪いペットを入院させて管理すること自体、その必然性も不可避性も自明であり、そこに選択の余地などないだろうと考える飼い主さんも少なくないでしょう。
実際、飼い主さんに対して、入院して治療すること自体の是非から考え、意思表示していただきたい旨の話を始めると、「つまり入院しなくても大丈夫、通院でも治療は出来る程度の病状だという意味ですか?」と問い返されることも何度かありました。
厳しい病状の動物に対して、集中的に濃厚な医療介入を行いたい場合は、看護スタッフが揃い、あらゆる医療機器が利用可能な診療所内に動物を係留する入院治療を選ぶ方が有利です。
つまり、医療者側としては、当初予見し得ない病状の変化に対処するような局面も含めて、重症患者は診療所内に滞在してもらった方が治療における勝算が高くなると考える場合の方が多いのが普通です。
重症のペットを治療するにあたり、入院させた方がよいかどうか自体について技術論的な見地から逡巡する場面というのは、ほとんどないと言っても過言ではないでしょう。
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