じゅんくんはかつて尿道閉塞により、三途の川を三分の二ほど渡りかけました。
ネコちゃんの尿道閉塞については様々な原因が指摘され、それぞれに対する治療も提案されては来ましたが、特効薬に相当するような確実なクスリも方法も「ない」と考えざるを得ないような状況も長年続いてきました。
実際最近になり、かつて「(基本的には)これで決まり!」的な位置づけで、大々的に行われてきた尿石症回避のための食事療法が、実はほとんど実効性を失いつつあるという衝撃的なデータも紹介され始めました。病気の成り立ちも、時代の流れに伴う飼育環境の変化とは無縁でいられなかった証左かもしれません。
そんな中、長年尿路系疾患の再発もなく、体調自体極めて高い安定性を示してきたじゅんくんは、当院における漢方治療の導入期からの患者さん。
これから始まる管理の道のりがどのようなものになるのか、もちろん見通せないままに開始された漢方治療でしたが、同じころ標準治療として西洋医学的な治療立案を選択した患者さんとは対照的に、平穏無事な日々を過ごすことが出来た結果を振り返るとき、かくも息の長い治療を実現せしめた飼い主さんのご努力に、治療者として深い感慨を抱かずにはいられません。
ピンバック: 「あおぞら診療日記『じゅんくん』」を掲載 - あおぞら動物医院