ポコちゃんとの初対面は衝撃的でした。待合室で順番を待っていたポコちゃんの容態はみるみる悪化し、ついには息を吸うことが困難な状態に。脂汗をたらしながら救命処置にあたる最中、何度も胸中に立ち現れる「もうダメかな…」という声を必死に振り払ったあの日の記憶は、今なお鮮烈です。
6日間に渡る集中治療の末、目立った後遺症もなく退院できた幸運に恵まれたポコちゃんは、重症の気管虚脱症による深刻な呼吸不全に陥っていたことが判明。急性期の救命治療は西洋医学的な手法を軸に進められたのに対し、慢性経過移行後は中医学的な診断に基づくダイナミックな治療手法による管理が現在まで続けられています。
興奮時などに若干、持病の存在を意識する瞬間はあるものの、日常生活は概ね順調。気管の外科的な矯正に拠らず、ステロイド剤も一切使用せず長期の安定が得られている背景には、治療に対する飼い主さんの熱意が途切れることなくポコちゃんに注がれてきた事実があることは言うまでもありません。
ピンバック: 「あおぞら診療日記『ポコちゃん』」を掲載 - あおぞら動物医院