マロンくんには重度の気管虚脱の持病があり、一晩中眠れないほどの咳に悩みました。中等度以上の同病では、発咳の制御に副腎皮質ホルモン剤の長期反復投与や、最終的には気管内ステント留置術の検討を迫られる例も少なくありません。残念ながらこれらの方法には現在でも課題が多く、代替し得る様々な治療方法の模索が続けられています。
発症時に比較的若齢であったため、副作用による継続困難が見込まれる治療は極力回避するという大方針の下、飼い主さんと綿密な打ち合わせを重ねました。強力な抗炎症作用のある薬剤に頼らず治療を成功させるには、一見回り道にも見える治療手順の意義をご納得いただくことが不可欠だからです。
こうした地味で息の長い管理の結果、マロンくんはステロイド剤にも依存せず、漢方と高生物利用価サプリの補充療法により、非常に長期間咳もなく生活することが出来ています。年齢不詳の若々しさと、敬称がクンかチャンか誰もが迷うイケメンぶりを保つ裏には、治療に対する飼い主さんの深い理解と不断の努力があったのです。
ピンバック: 「あおぞら診療日記『マロンくん』」を掲載 - あおぞら動物医院