外形的にはとても元気なロタくんですが、定期健診で顕著な低タンパク血症が明らかになりました。低タンパク血症の原因には様々な病態が存在し得ますが、いずれの場合も腫瘍を含む重篤な疾患に関連する場合が少なくありません。ロタくんに対しても定石に従った類症鑑別が試みられましたが確定診断には至らず、しかも経時的な臨床検査所見の悪化も認められたことから、中医学的な統合医療の考えに基づく医療介入を開始して、経過を追うことになりました。
過去に他施設で消化管イレウスの手術歴もあることから、栄養の取り入れ口である消化管機能の強化を主軸に処方を組み立て、血中タンパクの「出」と「入」の両面に着目した生活上の改善点も明らかにし、上記の治療と並行して取り組んでいただくことを申し合わせました。
中医学的な管理を開始して三年半以上が経った現在は、当該臨床検査値も安定的に正常値の下限を上回って推移しており、一般全身状態も極めて良好。特異的な原因の特定は常に望ましいものの、実際問題として「病名もつかないような病態」というものがたくさん存在する中、問題となる結果(症状など)に対して直接治療立案が出来る中医学の特長が存分に発揮された姿を、健やかな日々を送るロタくんは具現してくれています。
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