暑さ対策は万全ですか?(特に不在時)

 

記録的な暑さが続いた昨年とは対照的に、つい十日前くらいまでは「仙台にも夏は来るんですかね?」的なボヤキがあふれていましたが、無事来た模様です。

当院の外来でも、この急激な気温の上昇に深く関連していそうな体調不良を訴える症例が増え始めました。

個々の体力や基礎疾患の有無、住まいの状況を含めた生活環境など、気温上昇がペットの体調に与える影響には相応のバリエーションが見込まれます。

診察室で毎日のように受ける質問も「室温は何度くらいまでなら大丈夫なんでしょうか?」に関連したものが大半を占めますが、上記のバリエーションを反映した「議論の正確さ」よりも、いま重要なのは「ペットが暑さで死なないための大まかな条件」と考え、以下の如くザックリお答えすることにしています。

「エアコン等の空調を使わない状態で、継続して28℃を超える部屋に留め置かれたペットは、死亡する可能性が大いにあります」

これは街の臨床家として診療に従事してきた私の経験的な感覚であるのみならず、過去の様々な失敗に基づいて具体化・指標化が試みられている「ヒトの熱中症リスク」について蓄積されつつあるデータを眺めても、概ね似たような結論に集約される様子が見て取れます。

28℃でも危険です!説は、一定の信頼性を有すると言っても良さそうです。

実際の対策として、家庭でエアコンをどの程度稼働させるべきかについても、議論の正確さを優先すると、答えは「一概には言えない」となってしまい、被害を回避する上で用を成しません。

私の診察室においては、空調使用時(エアコンによって湿度も制御される状況)なら、ペットの居住空間が27℃前後に保たれるようにエアコンを設定するよう推奨しています。

ここで注意すべきポイントは、「(信頼できる寒暖計で測定した)室温が27℃前後」ということ。エアコンのリモコンに表示される目標設定温度のことではありません。

陽の光を遮るカーテンやブラインドを併用すれば、留守中の室温を27℃以下に保つことだけが原因で電気料金が跳ね上がることもまずありません。またゲリラ豪雨などの落雷に伴う瞬間停電により、空調が停止後再起動できなかったために熱中症事故に至った例もありますので、留守宅の遮光措置は非常時のリスク軽減にもなります。

ペットの夏のお留守番時には、ぜひ空調を入れた状態でお出かけになってください。

あわせて、水飲み場の複数増設など、飲み水確保の対策も忘れずに実施しましょう。

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