暑い日が続いたことに関連すると思われる、ペットの体調不良の相談が増えています。
NHKや朝日新聞などのメディアが、毎年「水分を多めに取れ」云々を繰り返してきたことについて、かねてより苦々しく思っていました。誠に遺憾ながら、今年も全く改心する気配はなく、学校行事後に小学生の死者が出たという痛ましい事故の報道に際しても、やはり開口一番「水分を補給しろ」と繰り返していました。
これほど情報源が多様化した現代にあって、なぜかくもひどい嘘ばかり報道するメディアの言うことを鵜呑みにする人がたくさんいるのか、不可解でなりません。しかし、そんなことをぼやいている間にも、さらにまた致死的な障害を負うヒトや動物が相次ぐ状況は、万難を排して改めなければなりません。
猛暑による熱中症の最も重要な対策は「暑さを避ける」ことです。
暑いところにとどまりながら「水をせっせと飲む」ことなどでは断じてありません!
飼い主さん自身が暑くてしんどいなあと感じたら、その時点でペットに熱中症のリスクが迫っている可能性を想起してください。とても暑いなと感じる場所にペットをとどまらせてはいけません。
エアコンを使う、風が通り気温が低く保たれる場所に移動する、炎天下散歩に出たりしない等々、「何だそんなことか!」と拍子抜けするほど常識的な対応をせずに、ペットにやたらと水を飲ませてみたところで、熱中症患者を助けることにはなりません。
脱水状態に陥りつつある動物に対する給水処置は、言ってみれば「そうするしかない」「そうしないよりはした方がマシ」という次元の対応です。大切なのは、何をさておき「暑くない状態に退避させる」こと。それでもまだ様子がおかしいようであれば、直ちに医療の介入を必要としている段階と考え、行動に移してください。
対外純資産世界一の大金持ち国家・日本に住みながら、エアコンをつけずにエネルギーを「節約」したがためにヒトや動物が命を奪われるなど、あってはならないことです。正しい知識と合理的な状況判断によって、熱中症の惨禍からペットやご家族を守っていただきたいと思います。
ピンバック: 「熱中症対策が『水を飲むこと』だなんて!」を掲載 - あおぞら動物医院